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2020.08.07

中国EC業界を進化させる「ゲーミフィケーション」事情

「ゲーミフィケーション」という言葉をご存じだろうか。

意味を調べると、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用すること。

以前から教育現場や学習商材では取り入れられており、『ゲーム感覚で学べる』というキャッチコピーを一度は聞いたことはあるのではないだろうか。

 

この「ゲーミフィケーション」が最近の中国EC業界で導入されている。導入の仕方は各社それぞれだが、導入の背景は共通している。

それは顧客のリピート率を高めること。

急成長する中国EC業界に今どんな変化が起きているのだろうか?今回の記事では中国EC業界での「ゲーミフィケーション」事情やその背景を紹介していく。

 

中国EC業界の「ゲーミフィケーション」事情

中国ではECモールや電子決済を利用する時、多くの人がスマートフォンの専用アプリを使う。

その専用アプリには、たいがい本来の目的以外の機能が付属している。例えば最新ニュースを確認できたり、食事のデリバリーができたり。そんな専用アプリの多くに、最近は不思議な現象が起きている。

それは「ミニゲーム」の導入。

ただ、この「ミニゲーム」はよくある暇つぶしの単純なゲームではない。何と、実際の世界に社会貢献や宅配ができるという、リアルと連動したO2O(Online to Offline)ゲームになっているのだ。

例えば、アリババの決済アプリ「アリペイ」に付属している「アント庄園」。鶏を育てるという内容で、電子決済機能に連動したゲームだ。

アリペイを利用すると、利用額に応じて、鶏の餌が手に入るという連動したゲームなのだ。さらに鶏を毎日運動させる必要もあり、鶏とバレーボールなどをやるという、日本で大流行した”たまごっち”を思い出すような内容だ。

鶏を運動させて、大きく育てて、卵を生んでもらう。普通のゲームなら”卵を生んでもらう”がゴールで、後はその繰り返しだが、ここからがO2Oゲームの凄いところ。ゲームの卵が、本物の卵と交換ができて、貧困地区の子どもたちに寄付をすることができるのだ。

すでに累計4億人が遊び、150億個の本物の卵が貧困地区の子どもたちに贈られた。

 

他にも、中国ECモールの中で今一番勢いがある「拼多多(ピンドードー)」。そのピンドードーの専用アプリに付属されているのが「多多果園」。

※ピンドードーは他のECモールに比べて価格が安い商品が多く、地方都市や農村部では、圧倒的に支持をされている。

 

内容は、梨などの果物を育てるゲームだ。このゲームは毎日、水や肥料をやる必要がある。水や肥料はピンドードーで買い物をすればするほどたくさん手に入る。そして果樹が早く育ち、果物がなる。

これを収穫すると、本物の梨が送られてくるという仕組みだ。

 

このように、ただECモールで買い物をするだけでなく、O2Oゲームを導入することにより、ユーザーに違った楽しみを与えるのが、最近の中国ECモール業界での主流の1つになっているのだ。

 

中国EC業界が「ゲーミフィケーション」を導入する背景

先程も書いたが、中国EC業界が「ゲーミフィケーション」を導入する理由は、

『顧客のリピート率を高めること』

EC業界に限らず、会員ビジネスは「大量の新規顧客の獲得」「顧客のリピート率の向上」が永遠の命題。それによって継続的な売上・利益を確保することができる。

それは中国EC業界でも同じ。各ECモールで「大量の新規顧客の獲得」「顧客のリピート率の向上」のために戦略を練っている。

最近の「新規顧客の獲得方法」で一番多いのが、新規加入クーポンを大量配布。ただ、この方法はECモール同士で競争が激化しており、過剰な状況になっている。また新規顧客獲得に掛かるコストも年々上昇しており、各運営会社の経営を逼迫させている。

その問題を解決するために、今は「顧客のリピート率の向上」が急務になっている。各ECモールの既存会員ユーザーが継続して利用してくれることが、経営の安定にも繋がる。

また「顧客のリピート率の向上」が急務なのは、他にも理由がある。

実は最近、各ECモールの既存会員ユーザーからこんな不満が出ているのだ。「新規顧客ばかりが優遇されて、私達のような既存会員ユーザーには優遇措置がない!私達のことを蔑ろにしているのではないか!」

これを今中国では「殺熟(シャーシュー)」現象と言われており、中国EC業界で話題になっている。殺熟とは「殺熟客」の略で、「お得意さまを蔑ろにする」ことを意味する。

このような不満が出てくると、いずれは会員の大量流出が起こり始める。そして別のECモールに乗り換えて、改めて新規顧客として優遇をたっぷり受ける。またしばらくしたら別のECモールに移るという「渡り歩き」現象が始まってしまうのだ。

 

これを防ぐためには、既存会員ユーザーがどうやって長期的に楽しんでもらえるかが大事になってくる。

その解決方法の1つとして、O2Oゲームなどの「ゲーミフィケーション」が注目されている。ゲームをする目的は様々だが、ちょっとしたお得感や達成感を味わうことができて、社会貢献もできる。日々進化するユーザーに合わせて、ECモール側も様々な方面から楽しませようとしているのだ。

ただ今のところ「ゲーミフィケーション」は、中国EC業界でも試行錯誤中のようだ。この試行錯誤が中国EC業界、そして中国市場を強くしている。まずは試してみて、結果を見ながら良くしていこうとする。何よりも行動のスピードが早いことが素晴らしい。

これからも中国EC業界、そして中国市場の成長は止まらない。

ポリスターとしての取り組み

ポリスターでは、中国EC業界の最新情報はもちろん、中国市場の最新情報を常に把握している。

世間に出る情報のほとんどは、すでに結果が出てしまった情報が多いが、ポリスターはまだ内部だけの情報も、様々な人脈から得ている。そうしないと中国EC業界はもちろん、中国市場にも付いていけないからだ。

それが試行錯誤中のことであっても、先回りして、いつでも対応できるようにしておく。それらを活かして、ポリスターは日本のメーカー様が中国市場で成功するための最適な方法を提供し支援をしていく。

 

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