2020.03.02
新型コロナウイルスにより、今後中国国内で成長が予想される産業
はじめに
新型コロナウイルスが取り上げられてから2ヶ月近くが経過しました。中国国内の企業や経済も少なからず打撃を受けています。物流や実店舗が停止したために、一部の商品の売上も下がっています。
多くの日本企業様が、中国市場の先行きについて心配しておられます。ところが、実際にはこの特殊な状況下ゆえに注目されるようになった業界も多数あり、今後の中国市場におけるビジネスチャンスを見極める一つの指標となっています。
では、実際にはどんなジャンルの産業がビジネスチャンスとして注目されているのでしょうか。
新型コロナウイルスにより、今後中国国内で成長が予想される産業
01 医療産業とヘルスケア産業
今回の新型コロナウイルスは医療とヘルスケア産業に大きな影響を与え、最前線の医療スタッフが必要とする医療用品に加えて、医療用品や健康用品、衛生用品に対する一般大衆の需要が爆発的に増加しました。
新型コロナウイルス発生後、予防の重要性に対する人々の意識が高まり、マスクの需要が急激に増加しました。温度計や消毒用品などの必要も徐々に高まり、日常生活に必須のものとなっています。
現在、中国でのN 95専門マスクの供給は1日あたり600,000枚ほどであり、こうしたマスクの不足は、中国の医療および健康用品の生産性が不十分であるという問題を明らかにしました。
健康意識の高まりに伴い、免疫力を高め、体質を強化するために服用される健康補助食品やサプリメントなども、今後人気のある製品となる可能性があります。
新型コロナウイルス流行により、一部のインターネット医療プラットフォームのアクセスが大幅に増えました。 丁香医生、阿里健康、腾讯健康、微医などは、オンラインで風邪と肺炎をスクリーニングできる無料のプラットフォームとして注目され、ユーザーにオンライン診療の便利さを体感させました。
さらに、この新型コロナウイルスの流行は医療用eコマースやO2Oの開発も促進しました。これまで薬の購入は頻繁にあることではなく、必要な時に薬局へ直接行くだけで十分でした。しかし、この流行により、多くの人が叮当快药、京东医药、美团などのプラットフォームで購入し、直接自宅に薬を届くこのシステムが非常に便利であることが体感しました。こうした医薬品の電子商取引(EC)やO2Oプラットフォームは、将来的に新しいビジネスモデルをもたらすことが期待されています。
02 オンラインエンターテイメント産業
新型コロナウイルスの流行は春節の休日を直撃しました。多くの人々が外出を避け或いは禁止され、自宅での生活を余儀なくされました。また、その後春節休暇は延期され、多くの企業は開業を遅らせたり、自宅勤務やテレワークを導入しました。こうした影響を受けて、自宅で暇つぶしのためにショートビデオやゲームを楽しむ人が増え、オンラインエンターテイメント産業は非常に活発になりました。
ショートビデオに関しては、「TikTok(抖音)」の1日のアクティブユーザー数は3億人を超え、前年比93.1%増の3億1,100万人、「快手」の1日のアクティブユーザー数は前年比55.8%増の1億7,700万人、「腾讯微视」のアクティブユーザーは595%の増加となりました(一部のWebサイトデータによる)。
多くのユーザーが持て余した時間を解消するために、ショートビデオを見るだけでなく、自らも配信するようになりました。こうして大量のコンテンツが投稿され、ショートビデオ業界のブームをさらに高めました。ショートビデオの発生により、多数の新しいインフルエンサー同士のコミュニティが生まれています。新型コロナウイルスの流行がショートビデオの普及を加速させるにつれて、将来、多くの新しいインフルエンサーやネット有名人を生み出し、インフルエンサービジネスの爆発をさらに促進するものと思われます。
さらに、さまざまなゲームも多くの支持を受けています。報告によると、この期間中、腾讯(テンセント)傘下の2つの人気モバイルゲーム「王者荣耀」と「和平精英」の人気が大幅に増加しました。また、完美世界の「新笑傲江湖」、ソーシャルゲームの《玩吧》、また新型コロナウイルス流行と関連して「瘟疫公司」などが、春節中のダークホースとなりました。これは、新型コロナウイルスの流行がゲーム業界に大きなビジネスチャンスをもたらしたことを示しています。