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2022.12.26

中国家電業界動向レポート

 

本記事では、中国の家電市場の現状をレポートします。近年の市場の動向や、マーケティングの傾向などをまとめてご紹介します。中国市場での展開をお考えの家電企業様のご参考になれば幸いです。

 

 

3C製品の動向

・3C製品への消費活動は、毎年恒例の販促イベント時期に集中している

QuestMobileのデータによると、2021年から3C製品※の消費活動は、恒例の販促イベント期間に集中する傾向が明確に表れています。特に中国の「卒業シーズン」である6-7月と「新学期シーズン」である9月の前後は、様々なブランドが集中して販売やプロモーションを強化する時期となっています。2022年7月と8月における3C製品全体の販売規模は、それぞれ前年比60%、53%増加しています。依然として卒業・新学期シーズンは3Cへの消費活動が活発と言えるでしょう。

 

※3C製品…コンピュータ(Computer)、通信(Communication)、家電(Consumer Electronics)の3つの家電機器に対する総称。使用頻度の高い家電製品。

 

一方で、ICチップ不足による製品の更新の鈍化、ユーザーの買い替え期間が長期化するなどの課題も抱えています。これらの影響に対して、企業は、一層ブランディングへ注力する傾向があります。これには、市場カバレッジ※を拡大し、市場でより多くの分野においてシェアを獲得したいという動機があるようです。

 

※市場カバレッジ…本来ターゲットとなる潜在顧客に対しカバー出来ている割合を指す。

 

 

家電業界の動向

・家電業界全体のマーケティング傾向

中国の他の業界と同じように、家電業界のマーケティングもオンライン化が進んでいます。市場が成熟している小型・大型家電、生活家電、キッチン・バス家電のカテゴリーでは、「商戦マーケティングモデル」が形成されています。

 

 

・商戦マーケティングモデルとは

このモデルは、618商戦W11などの巨大セールイベントや、中秋節や春節などの祝いの日・期間に合わせてマーケティング戦略を作成し露出・コンバージョンを得るものです。露出するチャネルには、流行の「ショート動画+ソーシャルメディア」型のものがよく選ばれており、公共プラットフォーム※からのトラフィック(アクセス数)獲得に繋がっています。特に618商戦は、2022年におけるマーケティングの主戦場となりました。

 

※公共プラットフォーム…Weibo、REDなど、既存の有名プラットフォームを指す。

 

 

大手家電ブランドの動向

・チャネル側の動き

「商戦マーケティングモデル」が形成された結果、複数の販売チャネルでは、618商戦とW11以外に、「カテゴリー活動の日」という大手ブランドの様々なカテゴリー商品を販促するキャンペーンを立ち上げる動きが一般的となっています。

 

現在、小型家電分野へ続々と新ブランドが表れている為、大手ブランドはこのキャンペーンでチャネルと連携し、マーケティング活動を促進する必要があるのです。本キャンペーンで大手ブランドは、押し出す商品の選定、広告、情報拡散の為の宣伝手法に加え、チャネルとの「共同誘致+転換モデル※」を深めることが重要となっています。

 

※誘致+転換モデル…誘致+転換とは、プロモーションを通じて消費者を呼び込んだ後、購入へ踏み切らせる一連の購買行動への転換を指す。

 

 

・ユーザーの動き

一方、ユーザーの間では「消費のアップグレード」と「平替」が進んでいます。多くのユーザーは、良い質の物を求めると同時に、大手ブランドより安い商品を「コスパが良い」と考え、求めている様です。

 

※消費のアップデート…消費支出の構成とその水準の高まりを指す。

※平替…機能は大手ブランドのものと遜色が無いが、価格が安い商品の事。

 

 

家電業界の競争

中国国内における家電業界の競争は激しく、主に価格が争点となっています。業界全体のマーケティングは、前項で述べたような商戦でのプロモーションを中心に行われます。利益をより高めたいブランドは、主に2つの方向へ向かうことが多いです。1つは、伝統家電(昔からあるエアコン、冷蔵庫、掃除機、炊飯器、洗濯機などの事)カテゴリーの”プレミアム化”、それ以外は新しい家電カテゴリーの発掘です。

 

 

・家電業界のプロモーション傾向

広告とコンテンツの拡散、ライブコマースなどの宣伝でマーケティング効果を高めると同時に、ブランドによっては、オフラインでの活動も行っています。これには、商品体験店舗の実施、スーパーマーケットでの常駐などを実施し、ブランド体験※のタッチポイント※を増やす狙いがあります。

 

※ブランド体験…ブランドの世界観をターゲットユーザーへ感じてもらうこと。実際に使用してもらい機能的価値を感じてもらう、ブランドストーリーを伝えて情緒的な価値を感じてもらうなどがある。

※タッチポイント…顧客接点。企業と顧客が接する機会を指す。

 

 

・チャネルでの宣伝は行いつつ、狙うは「私域流量」

家電製品の販売は、大手販売チャネルへの依存度が高いため、プロモーション費用が高額になります。そこでブランドたちは「私域流量(プライベートトラフィック)」を活用しようとしています。私域流量とは、第三者や販売チャネルに頼らず、ブランド側から直接アプローチできる、または宣伝費を掛けずに自らアクセスしてくれるユーザーの事を指します。広告を投稿する際には私域流量によるトラフィック誘導に注力しています。

 

 

カテゴリーごとに見る各市場の動向

・中国大型家電市場の特徴

大型家電業界は、市場が成熟しており参入障壁が高く、製品の利益率も小さいという特徴があります。また、長年にわたりイメージ形成を行ってきた老舗ブランドは、大型家電の市場を席巻しており、新規ブランドの参入が困難でした。しかし近年老舗ブランドは、製品をハイエンド化することで利益率を向上させ、またブランド全体の発展を促しました。大型家電市場の発展にとって、この方向性は重要であると考えられています。

 

 

・小型家電カテゴリー市場の特徴

小型家電のカテゴリーは、商品ラインナップが豊富であり、新規ブランドは工夫を凝らしマーケティングを行うことで、急成長する可能性が高いです。例としては、オンラインとオフラインの両方でプロモーションを行う、複数のチャネルを横断してプロモーションを行うなどです。どちらも市場の状況やユーザーのニーズなど、様々な要素を加味し、プロモーション戦略へ加えることで効果が表れます。

 

小型家電のラインナップを増やすためには、ユーザーの使用シーンから需要を見つけ出し、新しい商品を増やしていくことが先決です。こうした新たなカテゴリーの発掘といった試みは、カテゴリーの長期的な発展を支えるでしょう。しかし例外的な分野もあります。中でも「電気ケトル」は、小型家電カテゴリーに早くから登場している為、すでに市場は飽和状態にあります。また、競争の末に残ったブランドも少なく、電気ケトルのマーケティングは、全体的に停滞感が表れています。

 

小型家電の各分野では、老舗ブランドと新規ブランドの物が混在しており、どちらも消費者によく選ばれています。老舗ブランドは、細分市場を獲得するために、製品のラインナップを充実させ、新規ブランドは、ひとつのカテゴリに集中して、開発・マーケティングを行う傾向があります。

 

 

・細分カテゴリー

家電の細分カテゴリー業界における広告への投入費用は、パーソナルケア家電が一番大きく、次いで生活家電、大型家電、料理用小型家電、キッチン家電となっています。パーソナルケア商品のような個人向け製品の多いカテゴリーは、核家族化や生活スタイルの急速な変化などの影響を受け、家族向け製品よりも市場空間が広く、多くのブランドがマーケティング資源を偏らせることとなっています。

 

 

家電業界のマーケティングステップ

成熟したカテゴリーは、プロモーション情報でユーザーを十分惹きつけることが出来ます。しかし、新興カテゴリーでは、消費者それぞれで異なる知識量に合わせた宣伝とブランディングをバランスよく行い、発信する情報の量と質両方を維持したプロモーションを定期的に行っていくマーケティングが必要となります。

 

新しいブランドの多くは、ショート動画やKOLマーケティングなどで一定の知名度を得た後、「有名人による推薦」といった芸能人マーケティングを行うことが多いです。著名人による推薦で、ターゲットユーザーのグループへの訴求を強化していきます。

 

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まとめ

中国の家電業界は、年々競争が激化しています。特に近年では、新型コロナウィルスの影響もあり、中国国内のマーケティングに注力する企業が増えた様です。しかし一方で、カテゴリーによっては、新規ブランドにもチャンスのある市場もあります。中国の家電市場では、自社の製品がどのカテゴリーに属し、どのようにマーケティングするかを綿密に立てることが重要と考えられます。

 

ポリスターでは、中国へ進出する企業様のサポートを行っております。本格的な展開へのアドバイスから、中国に興味はあるが不安があるという企業様への市場調査、テストマーケティングなども行っております。

 

また、インバウンド消費を狙ったプロモーション施策などもご提案しております。ゼロコロナ政策も緩和されつつある現在、インバウンド回復への期待が高まっています。特にかつて爆買いブームを起こした中国人訪日観光客は、コロナ禍以前までは増加傾向にあり、回復後集客したい企業様は多いと存じます。弊社には、中国現地スタッフが多数在籍しており、中国消費者に響くプロモーションのご提案が可能です。中国市場へ参入したい企業様、中国人消費者へアプローチしたい企業様は、是非一度ご相談ください。

 

 

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