2022.04.14
中国マーケティングで今話題の「抖音(Tiktok)」とは?注目の理由を解説
今、中国市場で大きな影響力を持つ中国のTiktok「抖音(Douyin)」は、新たな販売チャネルとして注目されています。本記事では、抖音の近年の動向やハイライトを紹介しながら、何故注目されているのかを解説していきます。中国市場で販路を拡大したい企業様や、抖音を活用したい企業様必見の内容となっておりますので、是非最後までご覧ください。
目次
抖音とは?
抖音(Douyin)は、中国のアクティブユーザー数6億人以上を誇るショート動画・動画配信プラットフォームです。日本でも「Tiktok」という名称で若者を中心に親しまれていますが、中国版とはEC機能面においてアプリの内容が大きく異なっています。
”興味Eコマース”の可能性
2021年に抖音は、自身のプラットフォームを”興味Eコマース”と位置付けました。興味Eコマースとは、欲しい商品を購入して貰うのではなく、動画等のコンテンツの面白さなどによる興味・関心を購買に繋げるプラットフォームの事です。従来のECと異なり、商品に興味を持ちそうな潜在的ユーザーへアプローチが可能となっています。
2021年抖音の年間主要データ
2021年”興味Eコマース”の位置づけが発表された同時期に、抖音プラットフォームへ「ブランド旗艦店」の機能が追加されました。この事により多くのブランドがプラットフォームに参入し、最終的に抖音プラットフォームは以下の様な実績を残し、大きく成長していきました。
・総動画数 9億9,000万本
・販売促進付き動画数 前年比190%増
・総ライブコマース回数 2,594万以上
・累積売上高1億超のライブコマース数 425%増
・一回の売上が1,000万超のライブコマース数 181%
2021年抖音のハイライト
上記で取り上げた実績以外にも、抖音には様々な変化がありました。
①ライブ中継の発展を促進した
抖音は、大学の公開授業や北京オリンピックなどのコンテンツを通し、様々なライブ中継方法を開拓しています。遠距離ユーザー同士が共同で出演出来るライブ中継や、共同購入が出来るライブコマースなど、既存のライブ中継の形を発展させる取り組みが多様にみられました。
②投稿されるコンテンツの質が向上しており、多様な動画が集まった
有益な情報を得られる動画へのニーズが高まっており、クリエイティブなコンテンツが続々と登場しています。現在抖音のプラットフォームには、スキル習得や視野を拡大する知的なコンテンツなど、多様なニーズに応える動画が投稿されています。
③様々なブランドが参入し、各々活動を続けている
中国のマーチャント(販売者)は、現在も新しいマーケティング方法を積極的に開拓しています。ライブコマースなど多様な手法を取り入れ、潜在ユーザーを掘り起こし、常にビジネスチャンスをうかがっています。
抖音を活用したマーケティング
抖音でのマーケティングは、中国でのSNSプロモーションの一般的な選択肢のひとつとなりました。中でもショート動画コンテンツは、制作コストも比較的低く、一度投稿する事で長期的に配信できる為、ブランディングに適しています。抖音でプロモーションを行っているブランド数は、2021年第1四半期と比較し、第4四半期に136%増となり、売上高は329%増となりました。
抖音におけるライブコマース
「ライブコマース+Eコマース」モデルは、ユーザーへ商品をより直感的に理解させると同時に、購買意欲を喚起させられると考えられており、販売者がよく利用する販売手法となっています。
抖音では、ブランド主導のライブコマースがよく見られます。商品の魅力をよく理解しているブランドが自らライブコマースで商品を販売する事で、ユーザーにも内容が伝わりやすく、また自社のリソースで行う事で様々なコストを削減できます。
商品カテゴリーごとにみる抖音での売上動向
抖音では、アパレル・コスメ・食品がEコマースの3大柱となっています。
①アパレル
美意識の多様化が進むにつれて、自分の顔や気質への意識が高まり、アパレルカテゴリーの需要が大きくなっています。2021年10月のアパレルカテゴリーの売上は、前年同月比300%増となりました。特に婦人服は、長期に渡りカテゴリー売上高でトップとなっています。
②コスメ
コスメ市場は、メンズ分野等、ユーザー層の拡大と共に成長を続けています。コスメカテゴリーは、2021年1月と比較し、9月の売上が188%増となりました。フェイシャルスキンケアは、長期的に売り上げトップを維持しており、中でも中国国産ブランドが好調な成績を収めています。海外ブランドでは、日本の美顔器「ヤーマン」や、フランスのスキンケアブランド「ラ ロッシュ ポゼ」が注目されています。
③食品
食品カテゴリーの中でも、特に人気となったのは”調味料”です。第4四半期の調味料の売上は、2021年初頭と比較し、前年同期比162%増となりました。特に、「健康的な脂肪ゼロ」「一人用」など細分化されたニーズに商品を当てた商品のプロモーションが、高い効果・売上を生みました。
その他にも仮想通貨のチャージなど、新興カテゴリーも注目されつつあります。また、コロナの影響によって、海外への渡航、及び買い物が難しくなった中国人消費者達の消費欲求を満たす為、抖音は「グローバルショッピング(全球购)」事業に力を入れています。越境市場ではコスメカテゴリーの需要が大きく、グローバルショッピング商品において売上高がトップとなっています。
抖音でのブランディング実例:伊利(Yili)※
本項では中国の有名乳製品ブランド「伊利(Yili)」を例に挙げて、ブランディングにおける戦略と、具体的なプロモーション方法について解説します。
・ブランディング戦略
①伊利は抖音に参入した後、まず始めにインフルエンサーと提携し、ブランド主導のライブコマースを開始しました。3月は、日間平均3回ものライブコマースを行い、露出を高めました。
②抖音におけるプロモーションについて一定の経験を経た後、伊利はブランド主導のライブコマースを毎日続けました。9ヶ月を経て、10個以上のブランドアカウントでライブコマースを行い、ライブ中継ルームで商品の宣伝及び販売促進活動を行いました。
③「6.18」「8.18」「11.11」などの主要な販促イベント時期を狙い、プラットフォームのイベントへ参加し、効果的にプロモーション活動を行いました。
・プロモーション手法の具体例
①抖音での「#チャレンジ」イベントを発起し、ブランド特色のあるコンテンツを制作します。インフルエンサーを招待し、より多くのユーザーへ#チャレンジに参加してもらい、ブランドへの影響力を高めました。
③ライブ中継ルームへ芸能人や人気インフルエンサーを招待し、ライブ中継ルームの雰囲気を盛り上げ、ユーザーの購買意欲を掻き立てました。
③他社との差別化を図る為、従来の室内でのライブコマースから、工場でのライブ中継や、CEO自らライブ中継を行う、スーパーマーケットで買い物をしながらライブ中継を行うなど、豊かなバリエーションで中継を試みていました。
まとめ
抖音は新たなECの形「興味Eコマース」というジャンルを開拓し、様々なブランドへ販売のチャンスを切り開いています。中国市場は大きな市場の為、ユーザーにリーチするにも大きなマーケティング予算が必要です。ですが、抖音などの新興チャネルを活用しながら市場の流れを読み、綿密なマーケティング戦略を策定する事で、コストを抑えながらの中国市場への参入が可能となってきています。
株式会社ポリスターでは、抖音でのテストマーケティングサービスを提供しております。日中間ビジネスに長けた現地スタッフが、市場の流れを読みながら、中国消費者の趣向に合ったマーケティング戦略を立案から実行までサポート致します。参入後のリスク管理など、包括的なサポートも行っておりますので、長期的な中国市場での展開を見据えたテストマーケティングが可能です。
中国進出に関するその他のご相談も承っておりますので、是非一度ご相談ください
今後もポリスターは、中国進出をする日本企業様の為に尽力して参ります。
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