2022.01.17
2022年Tmallトレンドレポートから分析する中国越境ECの今後の発展
Tmall国際より「2022・Tmall国際消費者動向予測(以下レポート)」が発表されました。このレポートは、越境ECにおける6つの消耗品のトレンドから、今年の中国消費者の傾向や市場・プラットフォームの発展について分析・予測したものです。本記事ではこのレポートを取り上げ、今年の消耗品市場の発展について予想していきます。
※本記事で取り上げる6つの消耗品とは、コスメとスキンケア、個人ケア用品、家庭用品・日用品、医薬品・ヘルスケア、アクセサリーとアパレル、ベビー・マタニティ用品の6つを指す。
目次
コスメとスキンケアカテゴリー
・消費者達は成分の配合をより重視する様に
近年ベーシックな商品や簡単に肌をケア出来るものよりも、肌の悩みを解決する”機能的”なものに注目が集まっています。特に美白、毛穴縮小、アンチエイジングやタイトニング、抗酸化などのキーワードが人気です。それに伴い越境市場においても”機能性スキンケア商品”が求められるようになり、市場が爆発的に伸びています。
レポートによると、消費者の37%が成分の比率・配合を気にしながら商品を選んでおり、中でも「プロのスキンケア派※」は、商品の生産技術や研究背景にも注目しながら購入しています。この事から、今後コスメ・スキンケアカテゴリーにおけるマーケティングでは、商品の持つ成分や効果を上手く消費者に伝えていく工夫が重要となっていくでしょう。
※プロのスキンケア派…美容に敏感な消費者を指す。スキンケアなどの専門知識に詳しく、製品に対する要求も他の消費者達と比べ厳しい目を持っている。
個人ケア用品
・スキンケアカテゴリーの影響を受け、機能的な商品が増加し質が高まっている
消費者達は、ヘアケアやボディケアに対しても機能性や効果を重視しています。最近の新商品の傾向を見ても、悩みを解決するような機能的な商品が多く、商品の質が高まっています。中でもオイル系のボディーケア商品がトレンドとなっており、越境ECでは「生え際を守る、肌に潤いを与える、肌を落ち着かせる」目的でオイルベースの商品がよく選ばれています。
オイル系の商品がトレンドとなった背景には、効能に関する認知度が高まった事と、それに伴い使用場面が広がった事にあります。これまでは乾燥の激しい秋冬によく使用されていましたが、今では通年使用するというコンセプトが理解され受け入れられています。主な利用シーンは在宅時で、新一級都市と二級都市の消費者がより好んで購入しています。
オイルのトレンド同様に、今後も個人ケアカテゴリーは、スキンケアの”機能性を重視する”傾向に影響を受け、様々な成分・形態の商品が増加していく事が予想できます。
家庭用品・日用品
・「嗅覚」が新たな話題となり、フレグランスで癒しや特別感を生活へ取り入れる様に
越境ECの消費動向を見ると香水・フレグランスの消費比率が年々高まっています。消費者がアロマ製品を選ぶ理由によると、趣味・趣向以外にも、豊かな体験を得られる事や生活に癒しや特別感を取り入れたいなど、様々な需要を満たしている事が分かりました。中国の消費者達はフローラル、フルーティ、オリエンタルなどのメジャーな香りを好む傾向にありますが、95年後生まれの若者たちは、ニッチな香りを好みます。
中国のフレグランス市場は、今後6年間で年平均成長率が22%増加すると予測されており、今後の成長に様々なブランドが期待を寄せています。
ヘルスケア
・スナックと養生が合体した”栄養代替品”を求める様に
中国国民の健康意識が高まり、養生やヘルスケアといった意識が生活に定着しつつあります。消費者達は、日常の食生活に健康補助食品を取り入れ、栄養を補ったり、体調管理、心身の不快感の軽減を行っています。
消費者がTmall国際から購入するヘルスケア商品はスナック化の傾向にあり、人々は服用の感覚が無い食感を求めています。特に90年、95年後生まれの若者たちは、ワンパック式の全栄養代替商品や機能性スナックなど新形態と呼ばれるヘルスケア商品を好んでいます。
アクセサリーとアパレル
・”在宅経済”から”アウトドア経済”へ変化
中国国民の健康意識が高まった事と、国家政策※により、スポーツ文化が推進されていきました。結果、コロナ禍で流行した”在宅経済”は、”アウトドア経済”へと変化しています。アパレルカテゴリーにおいて消費者達は、スウェット、レギンス、ダウンジャケットなどのライトなスポーツウェアを選ぶ傾向にあり、それに伴いアクセサリーカテゴリーでは、スポーツウォッチ、つば広帽子、ハンチング、レギンスなどが大きく伸びています。ライトでユニセックスな、クールなスポーツウェアが広く好まれています。
※生涯スポーツ促進の政策。スポーツ大国からスポーツ強国への推進を目的に、競技スポーツと国民スポーツの発展に着手するもの
ベビー・マタニティ
・低刺激性が子育てのトレンドとなり、95年後生まれの若い母親たちは”科学的”な育児を行う
90年・95年後生まれのインターネット世代である若者が親となり、webを通じ新たな育児知識を学びながら子育てを行うようになりました。「2021年ベビーマタニティ白書」の統計によると、ベビー・マタニティカテゴリーにおける消費者の4割以上が”科学的な育児”を支持しています。「レポート」によるとTmall国際のコアカテゴリーである乳児用粉ミルクは、適格化育児理念※の影響で、低刺激性の粉ミルクの消費増速が大幅に上回っています。今後もベビー・マタニティカテゴリーでは、子どもに良いとされるハイエンドな商品が強く求められていくでしょう。
※より慎重に、細心の注意を図る育児を指す。子どもを何よりも大切にする中国の親達が持つ考え方。
越境ECは中国消費者達にとって”あたりまえ”の存在に
インターネットの普及とコロナ禍によるEC利用の増加によって、越境ECは急激に拡大しました。近年、中国消費者達にとって越境ECを利用し海外ブランドの商品を購入する事は、より日常的なものとなっています。今後越境EC業界が成熟していくにつれ、ブランド達の競争は激しくなっていくでしょう。
まとめ
本記事では、消耗品のトレンドと2022年の中国市場の予測をお届けしました。越境EC市場が急速に発展し、ブランド同士の競争が激しくなった現在、中国市場へ参入し成功するには、トレンドから市場動向を読み、中国消費者のニーズに合わせた展開が必須です。この度の記事が中国進出をする日本企業様の一助となる情報になれば幸いです。
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