2021.10.20
2021年W11も間近、中国大型セールイベントへの備え方
中国で毎年行われている大型セールイベント”W11(ダブルイレブン)”、今年もその開催が迫っています。10月に突入し、各ブランドは販促活動を活発化させています。今年のW11では、ブランド達はどのようなプロモーション施策を準備・実行しているのでしょうか。
本記事では家具日用品・家電製品・インテリア・文化教育関係の業界が行っているイベントの前準備から、今年のW11の”プロモーション戦略”を探ります。
今後W11への出展をご検討の日本企業様方へ、中国の大型セールイベント準備時のご参考になれば幸いです。
参考資料:
EC情報メディア「天下网商」
Tmall全業界向けイベント説明会情報
W11とは
W11とは、11月11日のシングルデー(独身の日)に中国の大手ECサイト“アリババ”が運営する「Tmall」で行われる大型セールイベントです。その盛り上がりは年々高まっており、昨年2020年のW11におけるTmallと京東の取引総額は、合計7,697億元(日本円で約14兆円)に達し、それぞれ 前年同期比26%増、32%増と、両社ともに過去最高の取引額を収めています。
昨年のW11の様子を詳しく知りたい方はこちら
・W11の由来は?
2020年の中国「独身の日(W11)」参戦!準備はいつから?何をする?戦いはすでに始まっています!
https://www.polystar.yokohama/media/20200203/
・2020年のW11の結果
2020年中国市場最大の一大イベントW11 中国市場で成功するための方法
https://www.polystar.yokohama/media/20201113/
今年のW11は
今年のW11のセールタイムは、昨年と同様2回に分けられます。日程は以下の通りです。
①11月1日~3日(前売り:10月20日20:00からスタート)
②11月11日(前売り:11月4日20:00からスタート)
例年と比較すると①の前売りが4時間早い開始時間となっています。消費者は夜更かしせずに早めに購入することができる為、各社は更なる売上向上を期待しています。
今年のW11も昨年以上の盛り上がりが期待出来そうです。次項では家具日用品・家電製品・インテリア・文化教育関係業界が行っている前準備の動向に迫り、今年度のW11における”プロモーション戦略”を探ります。
家具・日用品業界の動き
・キャッチコピーで目を引くプロモーションがトレンドに
家具・日用品業界では、新たなトレンドのカテゴリーが増加し、新たな使用シーン・技術・機能性に焦点を当てた製品が人気を集めています。従来の商材を扱う売り手は、これまでのように機械的に商品の機能性を紹介するのではなく、消費者の記憶に残りやすくするための工夫が求められています。工夫の一例としては、多くのブランドが各商品にインパクトのあるニックネームを付けて注目を集める施策を行っています。
<成功実例>
①冰淇淋被・・・”アイスクリームのような清涼な触感を持つ布団”を表すニックネーム
②踩屎感拖鞋・・・”うんこ(※)を踏んだような柔らかい感触のスリッパを表す”ニックネーム
※…驚きの表現ですが、実際に人気を集めたニックネームです!日本で大きく話題となった”うんこドリル”が愛される理由と近い感覚なのでしょう。
家電製品業界の動き
・新製品の販売に備える
前売り販売される家電製品のほとんどが、新製品且つ顧客単価が高いものになっています。新製品だからこそ新規顧客の獲得と商品の宣伝が非常に重要です。主力となる家電製品は以下の6つの分野に分けられます。
①スマート家電(人工知能)②エコ家電③健康器具④美容家電(顔)⑤美容家電(体型管理)⑥ファッション&トレンド
・新規顧客獲得の重要性
アリババデータによれば、2020年W11における家電製品のGMVは、70%以上が新規顧客からの売上です。昨年度Tmallから支援を受けた家電製品分野の新規ブランド約206社は、10倍以上の売上増を成し遂げ、さらにその中の40社が各セグメントカテゴリーでのTOP1を獲得しています。新規顧客は、売り手とプラットフォームにとって大事な資産と言えます。
・販促効果を高めるための施策
今年のW11における家電製品の消費は、主にライブコマース等を行う”中継販売ルーム”と売れ筋商品を紹介する”ランキングページ”の2か所に集中すると考えられています。そこで中継販売は、ユーザーとのコミュニケーション時間を延ばすために、アニメーション技術による”バーチャルキャスター”を用いた商品紹介手法も取り入れました。この施策によって販売キャスターが休憩などで不在の時間も中継を継続して行うことが出来ます。
インテリア業界の動き
・5つの新しいトレンド要素が重要
インテリア業界の売り手は、ビジネスの拡大を図る為、商品に取り入れるべき“5つのニュートレンド要素”を以下の様に挙げています
①スマートインテリア(人工知能技術導入の内装や家具)②新スタイルのカラーデザイン・コーディネート③特別な部屋・スペースのカスタマイズ④静音と深い眠り⑤子供の成長スペース
・新規顧客獲得の為の施策例
インテリア業界でも同様、新規顧客の獲得はビジネスにおける生命線と言えます。売り手主は、W11が始まる前に新規顧客を取り入れるための施策に着手する事を推奨しています。
(例)
・他業界市場でターゲット顧客や潜在顧客向けにプロモーションを行う
・会員制度で新規入会限定特典を設ける
・新規客を店に連れてくる常連客に顧客誘致インセンティブ政策を設ける
・W11への対策の練り方
メーカーや売り手は、その業界の製造地域に集まるという特徴があります。この特徴を生かし、インテリア業界のメーカーや売り手達は、その地域のTaobao / Tmallマーチャント運営センターを通じ、W11関連の支援政策やイベント参加機会を問い合わせ、得た情報を基に施策を立てています。中国のメーカーはそういった地の利を生かして対策を練る為、日本のメーカーは綿密な戦略立てが必要です。
文化・教育業界の動き
・W11における文化・教育業界で流行のマーケティング手法とは
Tmallにおける文化・教育カテゴリーには①教育・教材・カリキュラム②図書③楽器の3つのサブカテゴリーが存在します。今年、文化・教育業界にて流行しているマーケティング手法は「商品+高付加価値(バーチャル)」のサービスの組み合わせによる他社との差別化です。特に多く見られる事例は、教材や楽器といった商品にオンライン講座(高付加価値)等のカリキュラム提供を行うというサービス付き商品販売モデルです。
・特に狙うべき購買層は「前売り参加の消費者たち」
W11の前売りに参加する消費者達は、消費力が強い傾向があり、楽器などの高単価商材を購入する事が多い傾向にあります。その為前売りへの参加者達に対しては、パーソナルサービスや特別な優遇制度等の付加価値を提供し、W11正式販売時の高単価商品購入を促すカギとしています。
・文化・教育業界で主要なマーケティング手法
文化・教育カテゴリーの商品は、ショート動画やライブ配信などのマーケティング手法に適しており、各売り手はプラットフォームのイベント宣伝に乗じてコンテンツ広告の配信数と品質を上げる事が重要です。
(例:新商品のPRの流れ)
⑴ターゲット顧客へ商品を知ってもらう為に、イベント開催2か月前から動画等のコンテンツ配信を行う。
⇒効果:コンテンツを通し、消費者へ商品やブランドの価値観やマインドを知ってもらう。
⑵イベント1か月前の10月からターゲット顧客に対しプロモーション活動を行う。特に購入意志と金額が高い顧客には特別なサービスなどの優遇権益を与える。
⇒効果:W11開催前に購入意欲を高められます。
まとめ
本記事では、W11における4つの業界のイベント前準備とプロモーション戦略に迫りました。
W11は大規模なセールです。今年度も苛烈な商戦となる事でしょう。本記事でも取り上げたように、W11を戦い抜くには早い段階での”前準備”や対策が必要不可欠です。市場調査やターゲット層へどうアプローチするか、綿密な戦略立案が求められます。ポリスターでは中国市場でのプロモーションにおける戦略立案を始め、幅広い支援事業を行っております。中国ビジネスをお考えのお客様はお気軽にご相談下さい。
すでに大きく動いている2021年W11、今後も動向をお伝えしていきます。
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