2021.01.29
2020年中国市場 ベビー・マタニティ業界調査レポート②
前回の記事でもお伝えしたが、今の中国は国民の生活水準の向上に伴い、ベビー・マタニティ関連業界が右肩上がりだ。現在、中国で子供のいる家庭でのベビー・マタニティ商品や育児教育関連の月間平均消費額が5200元(約83,000円)に達している。またベビー・マタニティ商品に対しては、安全・安心・高品質を重要視しているため、ベビー・マタニティの専門情報を提供している情報媒体やSNSの情報を駆使して、購入の意思決定をしている。
前回の記事に詳細を記載しているので確認して欲しい。
2020年中国市場 ベビー・マタニティ業界調査レポート①
今回は中国での最新のベビー・マタニティ商品の消費者の動向(購入時間傾向や情報源など)に関する情報を解説と共に紹介する。中国のベビー・マタニティ事情を少しでも理解していただけたら幸いだ。
※本記事のデータは、中国でのベビー・マタニティ分野で人気専門サイト「ベビーツリー」
(Babytree.com)が世界的なデータ分析会社・ニールセンに依頼して発表された
「2020年ベビー・マタニティ消費インサイトレポート」から一部を引用している。
目次
ベビー・マタニティ商品の消費者のインターネット利用時間帯は、一般ピーク時の時間帯より遅く、子供が就寝後の時間帯に集中している。
・ベビー・マタニティ商品の消費者のインターネット利用時間推移は、全体のインターネット利用者とほぼ一致している。
・またピークの時間帯に関しては、一般利用者は退勤後時間帯に集中するのに対して、ベビー・マタニティ商品の消費者はそれより遅く、夜の20~22時に集中している。
※ベビー・マタニティ商品の消費者は日常で家事や育児が落ち着いた後、インターネットを利用する傾向にある。この傾向は日本でも同様だと思うが、その時間帯に向けた施策やサービスが商品売上やブランド認知に良い影響をもたらすだろう。今後は中国市場でもタイミングの細分化が進むだろう。それを見極めるには消費者動向の分析が不可欠になる。
動画配信、SNS、ECモール、ベビー・マタニティ専門の情報媒体などがベビー・マタニティ商品の消費者の主な情報源や交流の場になっている。
・中国内でのインターネットやスマホの驚異的な普及により、ベビー・マタニティ商品の消費者にとっても、日常生活での様々な面で影響や浸透してきている。
・ベビー・マタニティ商品の消費者はスマホなどから動画配信、SNS、ECモール、ベビー・マタニティ専門の情報媒体などから情報を取得している。今後これらのプラットフォームのコンテンツ拡充が、ベビー・マタニティ商品の消費者に大きな影響を与えていく。
※日本同様、中国でもあらゆる手段で情報取得することが当たり前になってきた。ただ中国は国民性なのか情報処理スピードが圧倒的に早い。今の日本の若者を想像してもらえると分かりやすいだろう。そこで情報の量で勝負しても難しい。何処で、誰に、どのような情報を伝えるかがポイントになっていく。今後は中国市場でも徹底的にターゲットを絞って、この人に伝えたいという形で情報提供することが重要になってくる。
ベビー・マタニティ専門アプリは親同士の交流や情報獲得、育児での利用で重要視されている。
・ベビー・マタニティ商品の消費者はベビー・マタニティ専門アプリ等のプラットフォームに対して、依存性が高く、4割強の利用者は1日に1~2回利用する。
・昨今のベビー・マタニティ専門アプリは情報や知識の提供だけでなく、親同士の交流の場や、オンラインショッピングまでワンストップのサービスを提供しており、ベビー・マタニティ商品の消費者に愛用されている。
※情報媒体でも、ECモールでも重要になってくるのが、コミュニケーションツールとして機能しているかということ。ただの情報提供、ただのECショップでは絶対に飽きられてしまう。そこを常に活性化させるには利用者の活発な動きが必須になってくる。その活発な動きを持続させるには何かしらでコミュニケーションが取れることがポイントだ。日本より急激にEC化が進む中国では、今まで以上に人とのコミュニケーションが重要視されている。EC化が進んでも人との触れ合いを求める需要は今後も変わらない。そこをしっかり捉えられたサービスが中国市場では生き残っていく。
ベビー・マタニティ商品の消費者は、健康管理などができるアプリを利用して、科学的や数値的に育児することを重視しており、親自身の健康管理にも関心を持っている。
・最近のママたちは妊娠の段階から健康管理などができるアプリの利用率が高く、アプリの種類や機能も以前より多様化している。
・特に妊娠前・妊娠中の段階でのアプリの利用回数が大幅に上がっており、母親になる自分自身の健康管理にも以前より関心が高まっている。
※これは日本も同様で、中国でも子供を想う母親の気持ちは変わらない。そして母親が求める需要も依然と比べて複雑にはなってきている。ただ、どれだけアプリの種類や機能が多様化しても母親が求めているものは安心感だ。情報の信憑性や正確性はもちろん、どのように情報を提供するか、文言の言い回しやデザインも重要になってくる。一番大事なことは母親の気持ちに寄り添ったサービスが提供できるかが今後の中国でも重要になってくる。
今回は2回に分けて2020年中国市場でのベビー・マタニティ業界の調査レポートをお伝えした。中国もやはり日本と同じなのかと思われた方が多いのではないかと思う。だからと言って日本同様のやり方が通用することは無い。そこには言語だけでなく、商習慣、文化等の違いが必ず発生する。最新の情報を取得するのも重要だが、中国の根本も知る必要がある。中国進出を検討している日本メーカー様なら、まずは中国の文化等も調査しておくことをお薦めする。それが分かってくると、次にどのような行動をしたら良いのか、どのような人に相談した方が良いのかが見えてくるだろう。